イギリスって、ちょっと不思議な国ですよね。正式には「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」と言って、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという4つの「国みたいな地域」が集まってできています。
公用語は「イングリッシュ(英語)」。でも、それってイングランドに由来しているし、他の地域の名前は入ってないから、「ちょっと不公平じゃない?」と思う人もいるかもしれません。
これは、歴史をひもとくと納得できます。イングランドは昔から政治や経済で力を持っていて、他の地域をまとめていったのです。そうやって国として一つになっていきましたが、スコットランドやウェールズにはずっと自分たちの言葉や文化があって、「イングランドとは違う」という意識も強く残っていました。
ところが、政治の中心がロンドン(イングランド)になったことで、英語がどんどん広まって、結果的に今ではイギリス全体の共通語=英語、つまり「イングリッシュ」になったわけです。
でも面白いのは、スポーツになると話がちょっと変わるということ。
たとえばサッカーやラグビーの国際大会では、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドがそれぞれ別々の代表チームで参加しているのです!
「え?イギリスってひとつの国じゃなかったの?」って思いますよね。でも、これはイギリスのスポーツ文化の中で、それぞれの地域のアイデンティティがすごく大事にされている証拠なのです。
サッカーで言えば、実は世界最初の国際試合は、イングランドとスコットランドの試合(1872年)だったのです。それくらい、イギリスの各地域にはそれぞれ長いサッカーの歴史があるのですね。ラグビーでも同じように、各国が独立した代表チームを持っています。
ではオリンピックはどうでしょうか。オリンピックには「イギリス(Team GB)」として一つのチームで出てきます。これはもう、見る側としてもややこしいですよね。でも、スポーツによっては「文化・伝統を優先して別々に」、また別の場では「国として一つに」って、うまく使い分けているんです。
要するに、イギリスという国は、「一つの国だけど、いろんな“国らしさ”を大事にしている連合国家」なのです。言葉はイングリッシュで統一されているけど、心の中では「自分たちはスコットランド人」「ウェールズ人」「アイルランド人」っていう誇りがしっかり残っています。
そういうちょっと不思議なバランスが、イギリスの面白さかもしれませんね。