飛行機に乗っていると、機長から「当機は現在高度35,000フィートを順調に飛行しております。」などのアナウンスを耳にすることがありませんか。ここで使われている「フィート(feet)」という単位は、日本ではあまり馴染みがありませんが、航空業界では国際的に標準とされています。これはアメリカを中心とする航空分野の影響が大きく、国際民間航空機関(ICAO)もフィートを高度の単位として採用しています。
例えば、一般的な旅客機は約35,000フィート(約10,600メートル)を巡航高度として飛行します。たとえメートル法を使う国であっても、航空の分野ではフィートが使用されることが多く、これは国際的な統一と航空の安全確保のためです。
では、この「フィート」とは何か。その語源は、**人間の足の長さ(かかとからつま先まで)**に由来しています。古代では、成人男性の足の長さを基準とするのが一般的で、それが自然と長さの単位となりました。特に昔のヨーロッパでは、現在と比べて平均身長が低かったにもかかわらず、足は大きめだったという説もあり、それが1フィートの長さに影響したとも言われています。大柄なローマ兵士やゲルマン人の足が基準となった可能性もあります。
中世ヨーロッパでは地域ごとに異なるフィートが存在しましたが、16世紀のイングランドで「1フィート=12インチ」と定められ、標準化が進みました。現在の「国際フィート」は1959年に定義され、1フィートは正確に0.3048メートルとされています。
このように、フィートは人間の身体感覚に根ざした歴史ある単位でありながら、現代の航空業界においても共通言語として重要な役割を果たしているのです。