はじめに
2026年5月、JAL・ANAをはじめとする日系航空会社が国際線の燃油サーチャージを大幅に引き上げました。
中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の急騰と円安の進行が重なり、一部路線では2026年4月発券分と比べて最大約2倍の水準に達しています。
この動きは個人旅行者だけでなく、高校・大学が毎年実施している海外研修や語学研修のプログラム費用にも直接影響を与える可能性があります。
本記事では、燃油サーチャージの仕組みと最新動向を整理したうえで、2027年の春季・夏季に海外研修を計画している高校・大学の国際交流担当者の方に向けて、今から押さえておきたいポイントをご説明します。
燃油サーチャージとは?
燃油サーチャージ(正式名称:燃油特別付加運賃)とは、航空会社が航空燃料(ジェット燃料)のコスト変動分の一部を旅客に負担していただく追加料金です。通常の航空運賃とは別に請求されるもので、国際線を利用するすべての旅客に適用されます(2歳未満で座席を使用しない幼児を除く)。
JAL・ANAの場合、シンガポール市場で取引されるケロシン(ジェット燃料の原料)価格の直近2か月平均と為替レートをもとに、2か月ごとに改定されます。
■ なぜ今、上昇しているのか?
現在の急上昇の主な要因は2つ考えられます。
1.中東情勢の緊迫化による原油供給の不安定化と原油価格の急騰
2.円安の継続により、ドル建てのジェット燃料価格を円換算した際の基準額が大きく押し上げられていること
この2つの要因が重なったことで、2026年5月発券分からは前期比でほぼ倍近い水準への引き上げが実施されました。さらに、7〜8月発券分はANA・JALともに北米・欧州・オセアニア方面で片道6万5,000円へと、5〜6月発券分からさらに上昇しています。
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海外研修費用への影響
燃油サーチャージは「旅客1名・1区間・片道」あたりの金額です。研修に参加する生徒・学生の人数が多いほど、またフライト距離が長いほど、費用総額への影響は大きくなります。
■ アジア方面(韓国・台湾・中国・東南アジアなど)
アジア圏は比較的影響が小さい路線ですが、それでも無視できない水準になっています。
例えば韓国方面はJAL・ANAともに片道6,500〜6,700円(5〜6月発券分)、東南アジア(タイ・シンガポール・マレーシア等)は片道2万9,000〜2万9,600円(5〜6月発券分)となっており、最新の7〜8月発券分ではさらにANA3万3,500円・JAL3万5,000円へと上昇しています。
仮に7〜8月発券分のJAL金額(片道3万5,000円)で参加者30名が往復する研修を試算すると、燃油サーチャージだけで約210万円(3万5,000円×2×30名)になる可能性があります。
■ オセアニア方面(オーストラリア・ニュージーランドなど)
オセアニア方面は北米・欧州と同じ区分に分類されており、2026年7〜8月発券分でJAL・ANAともに片道6万5,000円となっています。
往復1名あたり13万円のサーチャージがかかる計算です。参加者30名では往復だけで390万円に相当し、プログラム費用全体に占める航空関連コストが大幅に増加することが考えられます。
■ 北米方面(アメリカ・カナダなど)
北米方面もオセアニアと同様に、7〜8月発券分で片道6万5,000円となっており、非常に高い水準です。
英語圏として人気の研修先であるカナダ・アメリカへの研修を検討している場合は、航空費の予算見直しが必要になる可能性があります。

担当者が今後注意すべきポイント
■ 2027年春季研修について
高校の春休み・大学の春季休暇にあたる2027年3〜4月実施の研修では、2026年秋から冬にかけての発券が中心になる見込みです。
現在の燃油サーチャージは高水準が続いており、中東情勢が落ち着かない限り、2026年後半も高止まり、あるいはさらに上昇する可能性も考えられます。春季研修であっても、早期に渡航先・人数・航空会社を確定し、発券タイミングを見極めることが重要です。
■ 2027年夏季研修について
夏季研修は高校・大学いずれも参加者数が多く、費用総額が大きくなりやすいため、燃油サーチャージの影響を特に受けやすい研修形態です。
2027年夏のプログラムであっても、2026年中に計画を固め、早期に見積もりを取得しておくことが、予算の精度を高めるうえで重要です。
航空券の手配時期によって数十万円規模の差が生じる可能性があることも念頭に置いてください。
航空券以外への波及
燃油サーチャージの問題は航空券にとどまりません。海外研修費用全体に影響が波及する可能性があります。
・現地費用・バス代:現地でのコーチバスや送迎費も燃料コストの影響を受けるため、価格が上昇している可能性があります。
・宿泊費:現地ホテルの光熱費上昇が宿泊費に転嫁されるケースも考えられます。
・為替の影響:円安が継続している場合、現地通貨建てのサービス費用が円換算で割高になる可能性があります。アメリカドル・オーストラリアドル建てのプログラムは特に注意が必要です。
・プログラム全体のコスト見直し:航空費・現地費用・為替が同時に上昇している局面では、渡航先や研修内容を含めた総合的な予算管理が求められます。
イクシルからの提言
イクシルでは、このような費用変動の大きい時期において、高校・大学の担当者の方に以下の3点を強くお勧めしています。
①早期の情報収集と計画立案
費用上昇リスクを抑えるためには、早め早めの情報収集と、早期の計画確定が不可欠です。特に航空会社・渡航先・人数の3点は、見積もり精度に直結します。
②高校・大学それぞれの目的に応じたプログラム設計
費用が上昇している時期だからこそ、「何のための海外研修か」という目的を明確にしたうえでプログラムを設計することが重要です。高校では探究・異文化体験、大学では専門分野との連携や語学力強化など、各校の目的に最も合致する研修内容から逆算した設計をご提案します。
③実施時期・渡航先の柔軟な見直し
中長距離路線で費用が大幅に増加している場合、近距離アジア方面への変更や、ピーク時期を避けた実施時期の調整も選択肢の一つです。費用と教育効果のバランスを慎重に検討することをお勧めします。
まとめ
2026年以降、燃油サーチャージの大幅な上昇が続いており、2027年の海外研修費用への影響は無視できない水準になりつつあります。
春季・夏季いずれの研修においても、早期の計画立案・早期の見積もり取得が、費用リスクの管理において非常に重要です。
「例年通りの予算で大丈夫だろう」という前提での計画は、今後見直しが必要になる可能性があります。
まずは現在の費用水準を正確に把握し、高校・大学それぞれの目的に沿った最適なプログラムを早い段階で検討することをお勧めします。
イクシルでは、海外研修・語学研修プログラムの企画から現地手配まで、高校・大学の担当者の方からのご相談を承っております。
2027年の研修計画についてのご相談はお早めにお問い合わせください。
今後も海外研修や留学に関する最新情報をお届けします。
本記事の数値・情報は以下をもとに作成しています(2026年6月時点)。
■ 公式発表
・ JAL「JAL/JTA国際線 燃油特別付加運賃 適用額改定(2026年5〜6月発券分)」2026年4月20日
https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2026/other/260420/
・ JAL「JAL/JTA国際線 燃油特別付加運賃 改定申請(2026年7〜8月発券分)」2026年6月12日
https://press.jal.co.jp/ja/release/202606/009574.html
・ANA「燃油特別付加運賃 / 航空保険特別料金について」2026年6月9日更新
https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/plan/charge/fuelsurcharge/
■ 報道
・トラベルボイス「ANAとJAL、燃油サーチャージ大幅引上げを正式発表」2026年4月21日
https://www.travelvoice.jp/20260420-159636
・トラベルボイス「ANAとJALは燃油サーチャージをさらに引上げ、欧米路線は片道6万5000円」2026年6月13日
https://www.travelvoice.jp/20260613-159963
※ 燃油サーチャージは2か月ごとに改定されます。最新の適用額は各航空会社の公式サイトでご確認ください。
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